熟成が特徴の会員制鮨店
銀座8丁目の飲食ビル。このビルに4店ある寿司店の中で一際ユニークなのが銀座鮨醇です。エレベーターを降りると看板はなく指紋認証のセキュリティ。完全会員制であることも特徴ですが、それ以上にこの店の拘りは「熟成鮨」にあります。
私が、初めて鮨醇を訪れたのは、2017年10月のこと。大将が丁寧な手捌きで、上品なお皿に盛りつけた鰤(ぶり)の刺身。摂氏1度で湿度90%、完全無風で3週間、熟成された鰤と聞いて、耳を疑いましたが、表面は綺麗なピンク色です。勇気を奮って口に入れると、とろけるような舌触り。濃縮された旨味が口中に広がります。
鮮度が命というのが常識の鮨ですが、実は熟成は江戸前の職人の伝統技。昆布締めや塩締めで1週間程度の熟成は昔から行われていました。それを熟成専用冷蔵庫(恒温恒湿庫)を活用して進化させ、長期熟成を実現したのです。熟成によってアミノ酸が生成され、それが旨味の素となる上に、美容と健康にも良いと言われています。魚の種類や脂の乗り方で、最適な熟成期間は異なります。そこに熟練の経験とノウハウが必要です。
この特徴ある鮨醇を運営する悟中株式会社。内装設備投資の資金を調達すべく、GoAngelでの株主を募集。1,610万円を調達しました。
お客様は株主です
「こんな小さなお店に出資してくれる人がいるのかしら?」と鮨醇の女将を兼ねる悟中の廣瀬社長。昨年9月に相談に来て、Family & Friends の募集方法を聞いた時の最初の反応です。
しかし、廣瀬社長を支えているファンのお客様のリストを見れば、実は株主になっていただける人は十分に見込めます。女性の姿は殆ど見かけない早朝の築地市場。ピンクの長靴を履いて仕入れに精を出す廣瀬社長は、ちょっとして有名人です。ここにも多くのファンがいます。
悟中の GoAngel での募集開始は、2017年11月末。決算期末でもある年末までに資金調達を完了すべく申込期間は3週間強としました。
廣瀬社長からは、お客様とお取引先などに株主を募集する熱いメッセージ。年末の多忙な時期と重なり、最後の一人が申し込んだのは申込最終日の12月20日の23時15分。駆け込みとなりましたが、無事に目標募集額を達成しました。
株主がお店を盛り上げる
株式会社はいわば株主の共同事業体です。今回、悟中の株主となったお客様。友人と食事をするとすれば「この店、僕が株主」といって銀座鮨醇に連れて行く。株主として資金を出してくれただけでなく、売上も応援していただける。これがFamily & Friends Financing の素晴らしいところです。お店の売上が増えれば、利益が出てやがて配当につながる。株主みなの力でどんどん成長すれば、やがて上場もできるかも⁈ まさに株主と経営はWIN-WIN。多くの株主の共同事業の経営を経営者が責任もって担う。これこそ本来の株式会社の姿です!
小さくとも立派な株主総会
50名の新たな株主が増えて、初めての株主総会。
会場は帝国ホテルタワーの大会議室です。
GoAngelでは、原則として株主名簿管理人をDANベンチャーキャピタルが務め、上場企業並みの招集通知が、株主全員に送付されています。
和服の正装で気合いが入る廣瀬社長。やや緊張した面持ちながらも、堂々とした議長ぶりでした
(つづく)
DAN ベンチャーキャピタル 株式会社
代表取締役 出縄 良人(公認会計士)
(プロフィール)